2010/09/19

ある神様の話

昨日はほぼぶっ続けで8時間ぐらいサーフしてました。
8時間も入っていると、人間観察が面白くなってきちゃったりして、

僕がパドルでアウトに出ると、若いサーファー達の中で、
おじいちゃんが一人波待ちをしていました。
体は、おじいちゃんとは思えぬ程鍛えられていて、
顔は、プロゴルファーの青木氏を臭わせる、
風格漂うおじいちゃんでした。

しかし、このおじいちゃん。不可解な点がひとつ。
いっさい波に乗らないのです。
セットがくれば、沖に向かってにパドルするし、
流されたと思ったら、右に左にパドルで移動します。
しかし、いっさい乗らない。

海水をちゃぷちゃぷと、温泉のごとく体にかけながら、
自信に満ちた顔で、ただじっと沖を眺めているのです。
ただじっと。

7時間ぐらい経過した頃、5時を知らせるチャイムがなりました。
その頃になっても、おじいちゃんはいっさい乗りません。
それから数分後、
今日一番デカいんじゃないかというセットの波が沖から入ってきました。
おじいちゃんは例のごとく、沖に向かってパドルを始めます。

しかし、今回は様子が違いました。
沖で、くるりと方向転換し、岸に向かってパドルを始めたのです。

乗ろうとしている。

それまで、一切乗ろうとしなかったおじいちゃんが、
今日一番のセットにチャージしているのです。
他のサーファーは手を出そうとしません。
だってダンパーなんだもの。

おじいちゃん、その波はどこからどう見てもダンパーだよ!

僕は心の中で叫びました。

おじいちゃんはパドルをやめません。
みるみるうちに海面が盛り上がり、おじいちゃんはテイクオフポジションに、
そして、テイクオフ

成功!
しかしなんと、おじいちゃんは、
僕がこれまで見た誰よりも、
とんでもなくガニ股だったのです。

おじいちゃんは
とんでもないガニ股のまま、
右にも左にも行くことなく、ダンパーの波を一直線に滑り降りて行きました。

おしまい

*ダンパー:横一直線に崩れて、右にも左にも行けない波

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